ニコパフの吸引回数と濃度表記|ニコパフ専門ニコハブが読み方を解説
- %(w/v)とmg/mLは換算可能:1%=10 mg/mL。例)2%≒20 mg/mL、5%≒50 mg/mL。
- 吸引回数(puffs)は目安:試験条件(ISO 20768:55 mL/3 s/30 s間隔)で算出され、実使用と一致しないことが多い。
- 総ニコチン量は「濃度(mg/mL)×容量(mL)」で計算。ラベルが「50 mg」とだけある場合は単位(/mLか/本か)を必ず確認。
- 制度の数字も指標:EU/英国は最大20 mg/mL・タンク2 mL(TPD)。日本の自己使用は12,000回/60個/120 mLが上限目安(装置は1台+予備1台)。
- 20歳未満は使用禁止、ニコチンは高度に依存性。
1. 濃度表記の基本:mg/mL と %(w/v)の関係
- mg/mL:「1 mL中に何mgのニコチンか」を示す質量/体積の単位。
- %(w/v):「100 mL中に何g」。1%(w/v)=1 g/100 mL=10 mg/mLが基本換算。
早見:2%≒20 mg/mL/3%≒30 mg/mL/5%≒50 mg/mL
EU/英国では民生用VAPEのニコチン濃度は最大20 mg/mL、カートリッジ/タンク容量は最大2 mL(TPD)。つまり「2%・2 mL」は制度上の上限構成。
2. 「ニコチンソルト」と「フリーベース」の違い(表記の見かけに注意)
- フリーベース:アルカリ性で喉刺激が強めに出やすい。
- ニコチンソルト:酸を加えてpHを下げた形。同濃度でも吸い心地が“まろやか”になりやすいという報告あり。
ラベルの落とし穴:「50 mg
」とだけある表示は、50 mg/mLなのか製品1本あたり50 mgなのかが文脈で異なる場合があります。単位(/mLの有無)と容量(mL)を必ずセットで確認。
3. 吸引回数(puffs)はどう数える?
「600回」「5,000回」などの吸引回数表示は目安です。吸い方・コイル・出力・気流で消費量が大きく変動します。多くの試験はISO 20768の機械吸引条件(55 mL / 3秒 / 30秒間隔・矩形パフ)を用いますが、これは比較用の試験前提であり、実使用と一致するとは限りません。高流量(エアフロー大)の機器では55 mL前提が適合しないケースも指摘されています。
4. ラベルを数字で読む:3つの基本計算
4-1. % ↔ mg/mL の相互換算
- 公式:1%(w/v)=10 mg/mL
- 例:5%=50 mg/mL、1.2%=12 mg/mL(端数は四捨五入)
4-2. 製品あたり総ニコチン量(mg)
- 公式:濃度(mg/mL) × 液量(mL)
- 例:20 mg/mL × 2 mL = 40 mg(EU上限構成における含有総量の目安)
注:体内に入る量=含有総量ではありません(発生・吸入・保持で損失が生じます)。
4-3. 1パフあたり(理論値)の目安
- 近似式:(濃度 mg/mL × 液量 mL) ÷ 想定吸引回数
- 例:20 mg/mL × 2 mL ÷ 600回 ≒ 0.067 mg/回
ただし:これは理論上の上限イメージ。エアロゾル化効率や呼吸保持で大きく変動し、ISO 55 mLはあくまで試験条件です。
5. よくある誤解と回避法
- 「5%=5 mg/mL」? → × 5%は50 mg/mL。%はg/100 mL(w/v)の表記。
- 「
50 mg
=すごく濃い?」 → 場合による /mLか/本(総量)か、容量と単位をセットで読む。 - 「吸引回数は製品ごとに固定」 → × 出力・パフの深さ・温度管理で上下。試験前提≠実使用。
- 「ソルト=安全」 → × 体感がマイルドになりやすいだけで、ニコチンの依存性は残る。若年層に安全なたばこ製品はありません。
6. 法制度の“数字”に紐づく読み方(日本/EUの例)
- EU/英国(TPD):最大20 mg/mL、タンク2 mL、リフィル容器10 mL。表示の「2%×2 mL」は上限構成の目安。
- 日本(自己使用の個人輸入):ニコチン入りは医薬品扱い。税関限りの1か月分上限=12,000回/60個/120 mL。容量と回数が併記されるときは“少ない方”で判定、カートリッジとリキッドは合算。装置(霧化装置)は1台+予備1台が目安。
メモ:上限の数字はラベル解読時の読み違い防止にも有用。例:2 mL×20 mg/mLの複数本をまとめる際は、「総ニコチン量(mg)」や「合算個数」の根拠を明確化。
7. 実務に役立つ“読み方テンプレ”
- ① 単位を探す:mg/mLか%か、あるいは/本(総量)か。
- ② 容量を確認:mLが何mLか(EU上限は2 mL)。
- ③ 換算する:% → mg/mL(×10)。総量(mg)=濃度×容量。
- ④ 回数は目安:ISO 55 mL/3 s/30 sは試験条件。実使用は人・機器で変わる。
- ⑤ 体感差の理解:ソルトはマイルドになりやすいが、依存性リスクは残る。
8. まとめ(ニコハブの見解)
- 濃度表記は%⇄mg/mLで正しく読み替え、総量(mg)も算出。
- 吸引回数は試験条件と使い方で大きく変わる目安。数字を鵜呑みにしない。
- ソルト/フリーベースの体感差は化学形の違いであり、濃度の読み方自体は同じ。
- 日本の数量上限やEUの上限仕様といった制度の数字も、ラベル解読の基準に活用。疑義があれば一次情報を確認。
※本記事は一般情報であり法的助言ではありません。20歳未満は使用禁止。ニコチンは依存性が高い点を常に意識しましょう。
参考(本文で参照した一次情報)
- %とmg/mLの関係(医療の例):UTMB「0.9%は0.9 g/100 mL」(%(w/v)の定義)
- 基礎の溶液計算:Harper College「Solution Calculations」
- ISO標準のパフ条件:ISO 20768(55 mL/3 s/30 s)
- 高流量機での注意:CORESTA Guide No.25(2024)
- ソルトとフリーベースの体感差:Gholap 2020、Li 2023(PMC)
- EU上限(20 mg/mL・2 mL・10 mL):TPD本文
- 日本の1か月分上限(12,000回/60個/120 mL 等):厚労省Q&A(地方厚生局掲出版)
- 健康注意(若年層×ニコチン):CDC
ニコハブから
この記事の換算表・テンプレは、社内教育やお客様説明にそのままご利用いただけます。ラベル写真があれば、「単位→容量→換算→総量→回数は目安」の順で読み解く無料チェック(一般情報の範囲)も承ります。
最終更新:2025-09-05
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