ニコパフ航空機での持ち運び:機内手荷物・預け入れのルール【2025年版】
1. なぜ“機内手荷物のみ”なのか(根拠)
- IATA危険物規則(DGR 66版/2025-01-01)の表2.3.Aで、電子たばこ(e‑cigarettes、個人用ヴェポライザー等)は「受託×/機内手荷物○」、かつ偶発的作動の防止を明記。
- TSA/FAA PackSafeも同旨。受託不可、機内での充電禁止などを具体的に指示。
- 日本の航空各社(JAL/ANA)も本体は機内のみ、機内での使用・充電不可で統一。
要点:リチウム電池は発熱・発火のリスクがあるため、客室内でのみ携行(異常時に乗務員がすぐ対応できる)という考え方です。
2. 機内手荷物に入れるもの・入れ方
2-1. 本体(デバイス/使い捨て含む)
- 電源OFF・誤作動防止(ボタンロック/キャップ)。ポッドやカートリッジは外して密閉が安全。TSA/FAAは偶発作動の防止策を求めています。
- 機内での使用・充電は不可(座席のUSBポートも×)。
2-2. 予備バッテリー(交換セル・パワーバンク等)
- 機内手荷物のみ可。100Wh以下(リチウムイオン)/リチウム含有量2g以下(リチウム金属)が目安。端子はテープやキャップで個別に絶縁し、金属と触れないように。
- 航空会社によって個数上限などの運航者条件がある場合あり。予約後に各社ページで最終確認。
2-3. リキッド(E‑liquid)
- 機内手荷物:100mL以下容器を1L以内の透明ジッパー袋へ(100mL/1Lの液体物ルール)。
- 気圧差で漏れやすいので、ボトルに気泡を残して締める/二重袋に入れるなど漏れ対策を。
- 預け入れ:TSAは受託可と明示。ただし破損・漏えい防止を徹底。
一部空港は新型CTスキャナ導入で運用が緩む例もありますが、世界的に統一ではありません。基本は100mLルールで準備し、出発地・乗継地の案内で最終確認を(成田も100mL前提)。濃度表示の読み方は濃度と回数の読み方を参照。
3. 受託手荷物(預け入れ)でしてはいけないこと
- 本体(使い捨て含む)や予備バッテリーを受託に入れる → ×(危険物規則/各社規程)。
- 機内で充電する前提の梱包 → ×(そもそも充電は禁止)。
4. 航空各社の代表的な運用(例)
- JAL:電子たばこは機内のみ可/受託不可。使用・充電不可。E‑liquidは国際線の液体ルール対象と明記。
- ANA:同様に機内のみ可/受託不可。使用・充電不可。
- 米系(TSA/FAA):受託不可、100Wh/2g基準、偶発作動防止、充電禁止。
5. 渡航前に必ず見る“国・地域の法律”(機内ルールとは別問題)
飛行機に持てても、入国地の法律で所持・輸入自体が禁止の国があります。代表例:
- シンガポール:e‑vaporiserの輸入・販売・所持・使用を全面禁止。罰則も強化。
- 香港:2022/4/30から輸入等を禁止。2026/4/30からは公共の場所での所持も禁止予定。
- タイ:輸入・販売の禁止を政府が明確化。旅行者への注意喚起と取締り強化の広報あり。
- インド:2019年法で製造・輸入・販売・広告等を全面禁止。
実務ヒント:経由地で法令NGだと、乗継の保安検査で没収・処分の恐れ。目的地だけでなく経由地も必ず確認しましょう。
6. 日本に入国・帰国する場合の別の線引き(通関・個人輸入)
- ニコチン入りカートリッジ/リキッドは医薬品扱い。自己使用の個人輸入は税関限りで1か月分=12,000回/60個/120mL。回数と容量が併記なら“少ない方”、カートリッジとリキッドは合算。装置は1台+予備1台が目安(2025/6/30版Q&A)。→ 詳細は1か月分の目安へ。
- 2025/7/1以降、該当する申請は原則オンライン(輸入確認証(旧:薬監))。
機内ルール(危険物・保安)と、税関/医薬品の枠組みは別です。両方を満たして、はじめて合法に持ち運べる状態になります。全体像はどこまでOK?(日本での位置づけ)も参照。
7. 直前チェックリスト(コピペ推奨)
〔本体・ポッド〕
- 電源OFF/誤作動防止(ボタンロック・キャップ)
- ポッドやカートリッジは外して密閉
- 機内で“使用・充電しない”(座席USBも×)
〔バッテリー〕
- Wh表記、またはmAh×V÷1000=Whで100Wh以下か確認
- 端子絶縁・個包装(ポーチや端子カバー)/機内手荷物のみ
〔リキッド〕
- 100mL以下容器のみ透明1L袋へ(国際線)
- 受託に入れる場合は二重袋+立てて梱包(漏れ対策)
〔法律/経由地〕
- シンガポール/香港/タイ/インド等の所持・輸入禁止の有無を再確認(乗継も含む)
〔日本へ持ち帰り〕
- 1か月分=12,000回/60個/120mL、装置1+予備1、混在は合算・併記は少ない方(数量の目安)
8. よくある質問(FAQ)
Q1. デバイスをうっかり受託に入れてしまったら?
A. 受付時やゲートで発見された場合は取り出しを求められます。受託のまま搭載は不可。
Q2. 何WhまでOK? 何個まで?
A. 目安は100Wh以下(2g以下)。予備は機内のみで短絡防止。個数は航空会社の運航者条件で上限が付くことがあるため、搭乗前に各社ページで確認。
Q3. 使い捨て(ディスポ)は別扱い?
A. リチウム電池内蔵なので扱いは同じ。機内のみ携行可・受託不可・使用/充電不可。
Q4. 機内の液体ルールは空港で違う?
A. 新型スキャナで運用が緩む空港もありますが世界統一ではないため、基本は100mLルールで準備。出発地・乗継地・到着地の案内を確認(成田は100mL案内)。
Q5. 日本に帰るときの数量上限は?
A. 自己使用の1か月分(12,000回/60個/120mL)。混在は合算、併記は“少ない方”。超える場合は輸入確認証(オンライン)を検討。→ 数量の目安 / 輸入確認証。
9. まとめ
- 航空機の安全基準では、本体・予備電池=機内のみ、使用・充電不可、E‑liquidは100mLルールが原則。
- 各国の法律は別軸。持ち込めない国もあるので、経由地も含めて要確認。
- 日本に戻る場合は、1か月分(12,000回/60個/120mL等)の数量上限を忘れずに。全体の線引きはどこまでOK?(日本での位置づけ)で再確認。
本記事は一般情報です。最終判断は、ご搭乗の航空会社・空港・各国当局の一次情報を必ずご確認ください。20歳未満の使用は禁止、喫煙エリアのルール順守も徹底を。
参考リンク(一次情報中心)
- IATA DGR 66版 表2.3.A:旅客・乗員が携行する危険物の取り扱い(電子たばこ=受託不可)。
- TSA「Electronic Cigarettes and Vaping Devices」/FAA PackSafe:受託不可、100Wh/2g基準、充電禁止、偶発作動防止。
- 成田空港:液体物100mLルール/JAL(液体・電子たばこ案内)/ANA(電子たばこ)。
- シンガポール(HSA・保健省)/香港(TACO)/タイ政府広報/インド(2019年法)。


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